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源実朝(鎌倉右大臣)と、
その和歌。
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[2009.6.8]
先頭頁「ただいまの歌」を海の歌に更新しました。万葉調の言葉を自在に使いながらも新機軸の雄大な叙景歌を創造したとされ、実朝のいわゆる“万葉ぶり”を代表する歌として知られていますが、小林秀雄は『実朝(無常といふこと)』の中で、示唆深い、ならではの鑑賞を行っています。

大海の磯もとどろに寄する波割れて砕けて裂けて散るかも
(読み:おほうみのいそもとどろによするなみわれてくだけてさけてちるかも)
(意:大きな海だ。そして、ごうごうと音をたてて打ち寄せる波は岩にぶつかり、割れて砕け、裂けて散って、消えていく。)

「こういう分析的な表現が、何が壮快な歌であろうか。」で始まる小林秀雄の『実朝(無常という事)』の中のこの歌の鑑賞は、次の文章で締められています。実朝は決して新技巧を凝らそうとしたわけではないとして、
「自ら成った歌が詠み捨てられたまでだ。いかにも独創の姿だが、独創は彼の工夫のうちにあったというより寧ろ彼の孤独が独創的だったと言った方がいい様に思う。自分の不幸を非常によく知っていたこの不幸な人間には、思いあぐむ種はあり余る程あった筈だ。これがある日悶々として波に見入っていた時の彼の心の嵐の形でないならば、ただの洒落に過ぎまい。そういう彼を荒磯にひとり置き去りにして、この歌の本歌やら類歌やらを求めるのは、心ない技と思われる。」

上記文章の味わいの一助になると思いますので、この実朝の歌の本歌とされる笠女郎(かさのいらつめ)の歌をあえて掲げておきます。万葉集・四・六百。

伊勢の海の磯もとどろに寄する波かしこき人に恋ひわたるかも


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